地域における芸術の支援と貢献

私が住んでいる神戸のすぐお隣の駅には、凱風館というところがあります。
そちらは、普段は合気道をしている道場なのですが、週に一回ほど寺子屋ゼミという、思想家の内田樹先生による学びの場が開かれています。

私は2019年ごろから、ゼミ生として通わせていただいていますが、昨日は、久しぶりにゼミで発表の機会を持ちました。
私が選んだタイトルは、「地域における芸術の支援と貢献」です。
OAG ART Center Kobeを昨年から運営する中で、地域における芸術を考えていきたいということから選んだタイトルでした。

地域ということにおいては、美術家としても、昨年、一昨年とアーティスト・イン・レジデンスで、アメリカ、カナダ、それぞれ1ヶ月滞在する中で、システムの違いをまざまざと見せられたということもありました。
2023年にカナダのウィニペグにあるMAWA、2024年にNY州にあるART OMIでの経験も踏まえてお話ししました。

この二つの施設の経験をもとに、日本で地域における芸術の支援と貢献をどのようにしたらいいのか自分なりにまとめました。

内田先生は、平田オリザ氏と豊岡市の関係性について紹介をしてくれました。
平田氏は「小さな世界都市」をヴィジョンに、中貝宗治・前市長のもと、「文化・芸術によるまちづくり」を着実に進め、2014年に開館した舞台芸術のアーティスト・イン・レジデンス施設「城崎国際アートセンター」をはじめ、「豊岡演劇祭」、そして2021年には兵庫県立芸術文化観光専門職大学がオープンしたそうです。
10年も経たない間のこの広がりは、芸術が街を変えていく良い実例です。

しかしそうは言っても、公共と結びつくというのはなかなかすぐには難しいことです。
まだ公共の協力がない中では、どうしていくか。

内田先生には、市民レベルのカウンターカルチャーとしては、人文系私設図書館「Lucha Libro(ルチャ・リブロ)」を開いている研究者青木真兵さんのように家を開くという試みも教えてもらいました。

何かを積み上げていくには、大きな石と小さな石の組みわせ技なんだなと思いました。

他にもゼミ生からもいろんな意見が出ました。
豊かな学びの場でますます考えさせられる、そして、やっぱり動かなきゃという良い刺激になりました。

レジュメも記録のために上げておきます。
地域における芸術の支援と貢献small

カナダのレジデンスについては、AIR-Jで書いているのでもしご興味がある方は読んでください。
https://air-j.info/article/reports-interviews/air_and_i_09_tomoko_inagaki/